債権と民法

  •  商行為によって生じた債権の消滅時効である。
    民法では、債権の時効期間は原則として10年としているが、商事時効では、特別の定めがある場合を除いて、時効期間は5年とされる。これは、商取引を迅速に終結させるという理由によるものである。
     商事時効が適用される債権は、商行為によって直接生じた債権に限らず、これにかわる債権についても、これと同一性を有する限り適用がある。たとえば、債務不履行による損害賠償請求権などである。
    また、商事時効の適用を受ける債権は、債権者・債務者のいずれも商行為によって生じた場合はもちろん、そのいずれか一方の商行為によって生じた場合でもかまわない。

商事法定利率

  •  商人間の金銭貸借による債務の利息など、商行為によって発生した債務に関して、利率について定めのないときの法定利率。
    たとえば、出版業を営むAが資金繰りのため、パチンコ屋を経営するBから1000万円を借入れした場合に見られるような法定利率の問題である。
     民事法定利率は年五分であるが、商事法定利率は取引きの営利性により、年六分とされている。
    ここでいう商行為とは、当事者双方にとって商行為である必要はなく、一方的な商行為でもよく、また債権者・債務者のいずれのための商行為であってもよい。
    さらにまた、絶対的商行為でもよいから、当事者双方または一方が商人である必要もないとされる。
     なお、商行為によって直接生じた債務だけでなく、これと実質上同一の債務、たとえば契約解除による原状回復義務や、債務不履行による損害賠償債務についてもこの利率が適用される。

契約締結上の過失

  •  契約は一応締結されたが、その履行が最初から不能なため無効となった場合に、この契約の締結にあたり、一方当事者が過失によってその不能を知らなかったときは、善意無過失の相手方に対して損害賠償の義務を負うとするもの。
     この損害賠償は、相手方が、契約が有効であると信じたことによって被った損失で、いわゆる信頼利益の賠償である。たとえば、別荘の売買契約において、その前日に別荘が焼失していたにもかかわらず、売主が目的物の存否も確認せずに売ろうとしたような場合である。
    この際、買主がその買入れの準備のために、他人に家屋の調査を依頼したり、銀行などから融資を受けたりしたときは、買主は調査費用や利息などの賠償を請求できる。
     もっとも、この点に関する民法上の規定はないが、信義誠実の原則(民法一条二項)を根拠として、学説は、過失ある当事者は一種の契約上の責任として、信頼利益を賠償するのが妥当、とみている。